ICD-10-CM のリンク

InferICD10CM を使用して、可能性のある病状をエンティティとして検出し、それらのエンティティを 2022 年版の国際疾病分類、第 10 回改訂版、臨床改定 (ICD-10-CM) のコードにリンクします。ICD-10-CM は米国疾病管理予防センター (CDC) によって提供されています。

病状が検出された場合、InferICD10CM は病状が一致する ICD-10-CM コードと説明を返します。検出された病状は、信頼度の高い順でリストされます。スコアは、概念に一致したエンティティの精度に対する信頼度を示します。徴候、症状、否定などの関連情報は、特性として認識されます。解剖指定や重度などの追加情報は、属性としてリストされます。

InferICD10CM は、以下のシナリオに最適です。

• 患者記録のための専門的な医療事務の支援

• 臨床研究と臨床試験

• 医療ソフトウェアシステムとの統合

• 早期発見と診断

• 公衆衛生管理

ICD-10-CM のカテゴリ

InferICD10CM は、MEDICAL_CONDITION カテゴリのエンティティを検出します。追加の関連情報も検出され、属性または特性としてリンクされます。

ICD-10-CM のタイプ

InferICD10CM は、DX_NAME タイプおよび TIME_EXPRESSION タイプのエンティティを検出します。

ICD-10-CM の特性

InferICD10CM は、以下のコンテキスト情報を特性として検出します。

• DIAGNOSIS: 症状の評価によって決定される病状の識別。

• HYPOTHETICAL: 病状が仮説として表現されているという表示。

• LOW_CONFIDENCE: 病状が不確実性が高いと表現されているという表示。これは提供された信頼度スコアとは直接関係ありません。

• NEGATION: 病状がないという表示。

• PERTAINS_TO_FAMILY: 病状が患者ではなく患者の家族に関係しているという表示。

• SIGN: 医師が報告した病状。

• SYMPTOM: 患者が報告した病状。

ICD-10-CM の属性

InferICD10CM は、以下のコンテキスト情報を属性として検出します。

• DIRECTION: 方向性を示す用語 例えば、左、右、内側、側面、上部、下部、後部、前部、末端、近位部、対側、両側、同側、背部、腹部など。

• SYSTEM_ORGAN_SITE: 解剖学的部位

• ACUITY: 慢性、急性、突発性、持続性、段階的など、疾患例の決定。MEDICAL_CONDITION タイプにのみ適用されます。

• QUALITY: 病期や悪性度など、病状を説明する任意の用語。

時間表現のカテゴリ

TIME_EXPRESSION カテゴリは、時間に関連するエンティティを検出します。これには、「3日前」、「今日」、「現在」、「入院日」、「先月」、「16日間」など、日付や時間表現などのエンティティが含まれます。このカテゴリの結果は、エンティティに関連付けられている場合にのみ返されます。例えば、「Yesterday, the patient was diagnosed with influenza」(昨日、患者がインフルエンザと診断された) という表現では、Yesterday が TIME_EXPRESSION エンティティとして返され、このエンティティは DX_NAME エンティティ「influenza」(インフルエンザ) と重複しています。ただし、「yesterday, the patient walked their dog.」(昨日、患者は犬を散歩させた) という表現では、「yesterday」(昨日) はエンティティとして認識されません。

型

認識されるタイプの TIME_EXPRESSION は、病状が発生した日である TIME_TO_DX_NAME です。このタイプの属性は DX_NAME です。

関係タイプ

RELATIONSHIP_TYPE は、エンティティと属性の関係を指します。認識される RELATIONSHIP_TYPE は OVERLAP であり、TIME_EXPRESSION は検出されたエンティティと一致します。

入力とレスポンスの例

以下の例は、InferICD10CM オペレーションがどのように機能するかを示しています。以下に示すのは、入力テキストの例です。

「The patient is a 71-year-old female patient of Dr. X. The patient presented to the emergency room last evening with approximately 7- to 8-day history of abdominal pain which has been persistent.(患者は医師 X が担当する 71 歳の女性患者である。腹痛が 7〜8 日ほど続いており、昨晩緊急治療室に入った。) She has had no nausea and vomiting, but has had persistent associated anorexia.(患者に吐き気や嘔吐はなかったが、持続的な食欲不振があった。) She is passing flatus, but had some obstipation symptoms with the last bowel movement two days ago.(患者は腸内ガスを排出しているが、2 日前の最後の排便で便秘の症状が若干あった。) She denies any bright red blood per rectum and no history of recent melena.(患者は直腸による鮮血色の血液は否定しており、最近に下血の病歴はない。) Her last colonoscopy was approximately 5 years ago with Dr. Y. She has had no definite fevers or chills and no history of jaundice.(最後の結腸内視鏡検査は約 5 年前で、医師 Y によるものである。はっきりした発熱や悪寒はなく、黄疸の病歴もない。) The patient denies any significant recent weight loss.(患者は、最近の大きな体重減少はないと言っている。)」

入力テキストに対して、InferICD10CM オペレーションは以下の出力を返します (簡潔にするために省略しています)。

{
    "Entities": [
        {
            "Id": 1,
            "Text": "abdominal pain",
            "Category": "MEDICAL_CONDITION",
            "Type": "DX_NAME",
            "Score": 0.9606665968894958,
            "BeginOffset": 153,
            "EndOffset": 167,
            "Attributes": [
                {
                    "Type": "ACUITY",
                    "Score": 0.764342725276947,
                    "RelationshipScore": 0.9999940395355225,
                    "Id": 2,
                    "BeginOffset": 183,
                    "EndOffset": 193,
                    "Text": "persistent",
                    "Traits": []
                }
            ],
            "Traits": [
                {
                    "Name": "SYMPTOM",
                    "Score": 0.7559975981712341
                }
            ],
            "ICD10CMConcepts": [
                {
                    "Description": "Unspecified abdominal pain",
                    "Code": "R10.9",
                    "Score": 0.7775180339813232
                },
                {
                    "Description": "Epigastric pain",
                    "Code": "R10.13",
                    "Score": 0.6876822710037231
                },
                {
                    "Description": "Lower abdominal pain, unspecified",
                    "Code": "R10.30",
                    "Score": 0.6758853197097778
                },
                {
                    "Description": "Generalized abdominal pain",
                    "Code": "R10.84",
                    "Score": 0.6746202707290649
                },
                {
                    "Description": "Upper abdominal pain, unspecified",
                    "Code": "R10.10",
                    "Score": 0.6702126860618591
                }
            ]
        }
...
    "ModelVersion": "2.5.0.20220401"
}

また、InferICD10CM は、エンティティがテキスト内で否定されている場合も認識します。例えば、患者に症状がない場合、症状と否定の両方が特性として識別されて、信頼スコアとともにリストされます。前の例の入力に基づいて、患者には nausea (吐き気) がないため、症状 Nausea が NEGATION の下にリストされます。

    {
            "Id": 3,
            "Text": "nausea",
            "Category": "MEDICAL_CONDITION",
            "Type": "DX_NAME",
            "Score": 0.9962648749351501,
            "BeginOffset": 210,
            "EndOffset": 216,
            "Attributes": [],
            "Traits": [
                {
                    "Name": "SYMPTOM",
                    "Score": 0.9296342730522156
                },
                {
                    "Name": "NEGATION",
                    "Score": 0.9620923399925232
                }
            ],
            "ICD10CMConcepts": [
                {
                    "Description": "Nausea with vomiting, unspecified",
                    "Code": "R11.2",
                    "Score": 0.8000147938728333
                },
                {
                    "Description": "Nausea",
                    "Code": "R11.0",
                    "Score": 0.7653312683105469
      }