COST02-BP03 アカウント構造を実装する - AWS Well-Architected Framework

COST02-BP03 アカウント構造を実装する

組織にマッピングされるアカウントの構造を実装します。これは組織全体でのコストの割り当てと管理に役立ちます。

このベストプラクティスが確立されていない場合のリスクレベル:

実装のガイダンス

AWS Organizations では、ワークロードを AWS で拡張する際に環境を一元管理するのに役立つ複数の AWS アカウント を作成できます。組織単位 (OU) 構造で AWS アカウント をグループ化し、各 OU の下に複数の AWS アカウント を作成することで、組織階層をモデル化できます。アカウント構造を作成するには、まず、どの AWS アカウント を管理アカウントにするかを決定する必要があります。その後、管理アカウントのベストプラクティスメンバーアカウントのベストプラクティスに従って、設計されたアカウント構造に基づいて、新しい AWS アカウント を作成したり、既存のアカウントをメンバーアカウントとして選択したりできます。

組織の規模や使用状況にかかわらず、少なくとも 1 つの管理アカウントとそれに紐づく 1 つのメンバーアカウントを常に持つことをお勧めします。すべてのワークロードリソースはメンバーアカウント内にのみ存在し、管理アカウントにはリソースを作成しないでください。AWS アカウント をいくつ持つべきかということについては、一律に答えることはできません。現在と将来の運用モデルとコストモデルを見積もり、AWS アカウント の構造が組織の目標を反映するようにします。ビジネス上の理由から複数の AWS アカウント を作成する企業もあります。次に例を示します。

  • 組織単位、コストセンター、特定のワークロード間で、管理、会計、請求の職務機能を切り離す必要がある場合。

  • AWS のサービスの制限が特定のワークロードのみに設定される場合。

  • ワークロードとリソース間の隔離と分離には要件があります。

AWS Organizations 内部では、一括請求により、1 つ以上のメンバーアカウントと管理アカウントとの間に構造が作成されます。メンバーアカウントを使用すると、コストと使用量をグループ別に区別できます。一般的には、各組織単位 (財務、マーケティング、営業など)、各環境ライフサイクル (開発、テスト、本番など)、各ワークロード (ワークロード a、b、c) にメンバーアカウントをいったん分離したうえで、一括請求 (コンソリデーティッドビリング) を使用してこれらのアカウントを集約します。

一括請求機能により、複数のメンバー AWS アカウント の支払いを単一の管理アカウントにまとめつつ、リンクされた各アカウントのアクティビティを可視化することができます。コストと使用量が管理アカウントに集計されると、サービスの従量制割引とコミットメント割引 (Savings Plans とリザーブドインスタンス) を最大限に活用し、割引額を最大化できます。

次の図は、AWS Organizations を組織単位 (OU) とともに使用して複数のアカウントをグループ化し、各 OU の下に複数の AWS アカウント を配置する方法を示しています。アカウントを整理するためのパターンを提供するために、さまざまなユースケースやワークロードに OU を使用することをお勧めします。

Tree diagram showing how to group multiple accounts under organizational units.

複数の AWS アカウント を組織単位でグループ化する例。

AWS Control Tower は、複数の AWS アカウントを迅速に設定、構成し、組織の要件に沿ったガバナンスを確保することができます。

実装手順

  • 分離要件を定義する: 分離の要件は、セキュリティ、信頼性、財務構造など、複数の要因の組み合わせです。各要因を順番に確認し、ワークロードまたはワークロード環境を他のワークロードから分離するかどうかを指定します。セキュリティは、アクセス要件とデータ要件への準拠を促進します。信頼性は、環境やワークロードが他の環境に影響を与えないように制限を管理します。Well-Architected フレームワークのセキュリティと信頼性の柱を定期的に見直し、提供されるベストプラクティスに従います。財務構造により、厳格な財務分離 (異なるコストセンター、ワークロードのオーナーシップ、説明責任) が実現します。分離の一般的な例としては、本番稼働用ワークロードとテストワークロードが別々のアカウントで実行されることや、請求書と請求データを、組織内の個々の事業部門や部門、またはアカウントを所有する利害関係者に提供できるように別のアカウントを使用することが挙げられます。

  • グループ化要件を定義する: グループ化要件は分離要件を上書きしませんが、管理を支援するために使用されます。分離を必要としない同様の環境またはワークロードをグループ化します。この例としては、1 つ以上のワークロードから複数のテスト環境または開発環境をグループ化することが挙げられます。

  • アカウント構造を定義する: これらの分離およびグループ化を使用して、各グループのアカウントを指定し、分離要件を維持します。これらのアカウントは、メンバーアカウントまたは連結アカウントです。これらのメンバーアカウントを単一の管理アカウントまたは支払者アカウントでグループ化することで、使用量が合算されるので、すべてのアカウントでの従量制割引がより大きくなり、すべてのアカウントに対して単一の請求書が提供されます。請求データを分離し、各メンバーアカウントに個別に表示させることも可能です。メンバーアカウントが使用量や請求データを他のアカウントに表示してはならない場合、または AWS から別々の請求書を必要とする場合は、複数の管理アカウントまたは支払者アカウントを定義します。この場合、各メンバーアカウントは独自の管理アカウントまたは支払者アカウントを持つことになります。リソースは常にメンバーアカウントまたは連結アカウントに配置する必要があります。管理アカウントまたは支払者アカウントは、管理のためにのみ使用してください。

リソース

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