COST08-BP01 データ転送モデリングを実行する - AWS Well-Architected フレームワーク

COST08-BP01 データ転送モデリングを実行する

組織の要件を取りまとめ、ワークロードとその各コンポーネントのデータ転送モデリングを実行します。これにより、現在のデータ転送要件に対する最低コストを特定できます。

このベストプラクティスを活用しない場合のリスクレベル:

実装のガイダンス

クラウドでソリューションを設計する際、習慣的にオンプレミスのデータセンターを使用してアーキテクチャを設計してしまったり、知識が不足していたりするせいで、データ転送料金を見落としがちです。AWS のデータ転送料金は、送信元、送信先、トラフィック量によって決まります。設計段階からこれらの料金を織り込めば、コスト削減につながる可能性があります。総保有コスト (TCO) を正確に見積もるには、ワークロードにおけるデータ転送の発生箇所、転送コスト、関連するメリットを把握することがきわめて重要です。これにより、十分な情報に基づいてアーキテクチャ設計上の変更や承諾の決定ができます。例えば、アベイラビリティーゾーン間でデータをレプリケートするマルチアベイラビリティーゾーンを設定したとします。

ワークロードでデータを転送するサービスコンポーネントをモデリングし、これが、求められる信頼性と耐障害性を実現するために許容されるコストであるか (両方のアベイラビリティーゾーンのコンピューティングとストレージに支払うのと同様であるか) を判断します。さまざまな使用量レベルでコストをモデリングします。ワークロード使用量は経時的に変化します。また、サービスの種類ごとに異なるレベルで費用対効果が向上する場合があります。

データ転送をモデリングする際は、取り込まれるデータの量と転送元を考慮します。また、処理されるデータ量と、必要なストレージやコンピューティングのキャパシティについても検討してください。モデリング中は、ワークロードのアーキテクチャに則したネットワークのベストプラクティスに従い、見込まれるデータ転送コストを最適化します。

AWS Pricing Calculator を使用して、特定の AWS サービスのコストの見積りと、予想されるデータ転送を確認できます。ワークロードを (テスト目的で、または実稼働前の環境で) 既に実行している場合は、AWS Cost Explorer または AWS Cost and Usage Report (CUR) を使用してデータ転送コストを把握し、モデル化します。PoC (概念実証) を設定するか、またはワークロードをテストして、現実的な条件でシミュレートされた負荷を用いてテストを実行します。ワークロードのさまざまな需要に応じてコストをモデルリングできます。

実装手順

  • 要件を特定する: 送信元と送信先の間で予定されているデータ転送の、主な目標とビジネス要件は何ですか? 最終的にどのようなビジネス成果を期待していますか? ビジネス要件を収集し、期待される成果を定義します。

  • 送信元と送信先を特定する: データ転送の送信元と送信先はどこですか (AWS リージョン内の転送、AWS サービスへの転送、インターネットへの転送など)?

  • データ分類を特定する: 転送されるデータはどのように分類されますか? データの種類は? データの大きさは? データ転送の頻度は? 機密データですか?

  • 使用する AWS サービスまたはツールを特定する: このデータ転送にはどの AWS サービスを使用しますか? プロビジョニング済みのサービスを別のワークロードに使用できますか?

  • データ転送コストを計算する: 以前に作成したデータ転送モデリングの AWS 料金を使用して、ワークロードのデータ転送コストを計算します。ワークロードの使用量が増減した場合の、使用量別のデータ転送コストを計算します。ワークロードアーキテクチャに複数のオプションがある場合は、比較のために各オプションのコストを計算します。

  • コストを結果にリンクする: 発生したデータ転送コストごとに、ワークロードで達成した結果を指定します。コンポーネント間の転送であればデカップリングのため、アベイラビリティーゾーン間の転送であれば冗長性のためかもしれません。

  • データ転送モデルを作成する: すべての情報を収集したら、複数のユースケースやさまざまなワークロードの基準となる、データ転送の概念モデルを作成します。

リソース

関連ドキュメント:

関連動画:

関連する例: