ハイブリッド SaaS デプロイ - SaaS レンズ

ハイブリッド SaaS デプロイ

SaaS 環境の顧客のニーズは、ビジネスごとに大幅に異なります。すべての顧客を共有インフラストラクチャモデル (プール) で稼動させるSaaS ソリューションを構築することには、大きなコストと運用のメリットがあるものの、顧客が他のテナントとインフラストラクチャリソースを共有したがらないこともあります。

1 度限りの顧客に独自の環境を用意する必要性は、SaaS プロバイダーにとって困難となります。SaaS プロバイダーはこのモデルをサポートするためのビジネス上のプレッシャーを感じているものの、この性質のバリエーションをサポートすることは、ビジネスの SaaS の全体的な目標をむしばむことも知っています。新しい 1 度限りの各顧客によって、運用のオーバーヘッドと複雑性が高まります。新しい各顧客がこのモデルに追加されるにつれて、共有インフラストラクチャモデルから得られる革新、俊敏性、コスト効率のメリットから遠ざかってしまうことがすぐに実感できます。

ただし、SaaS のビジョンを完全に損なうことなく、このモデルを利用できる、アーキテクチャおよび運用上の戦略があります。図 9 は、この課題にどのように対応すればよいかの概念ビューを示しています。

図 9: ハイブリッドデプロイモデル

この図では、SaaS 環境の 2 つの独立したデプロイがあることがわかります。左側は、共有インフラストラクチャを使用してプール化されたモデルでデプロイされています。テナントの大多数はこの環境で実行しています。一方、右側では、1 つのテナント (テナント 4) をホストする、マルチテナント環境の独立したコピーをデプロイしています。

この戦略の鍵は、左右両方の環境が、SaaS アプリケーションの同じバージョンを実行している点です。すべての新しい変更や更新は、両方の環境に同時に適用されます。さらに重要なのは、これら両方の環境にまたがる、単一の統合された管理エクスペリエンスが用意されていることです。オンボード、ID、計測、課金が両方の環境で共有され、共通のものとなっています。

この共有エクスペリエンスによって、SaaS 組織はこれらの環境を一元化して管理および運用できます。これらの 1 度限りのテナントをこのモデルに当てはめることで、SaaS 環境の全体的な俊敏性と運用効率性への影響を最低限に抑えることができます。このモデルはコスト効率性に影響を及ぼし、運用の複雑性は高まります。しかし、多くの SaaS 企業にとって妥当な妥協案となります。