人員のパースペクティブ: 文化と変革 - AWS クラウド導入フレームワークの概要

人員のパースペクティブ: 文化と変革

人員のパースペクティブでは、テクノロジーとビジネスの架け橋となり、クラウドジャーニーを加速させ、文化、組織構造、リーダーシップ、ワークフォースに焦点を当てながら、継続的に成長、学習し、変化が当たり前になるような文化へと組織がより迅速に進化できるようにします。このパースペクティブは、次の図に示す 7 つの機能で構成されています。一般的なステークホルダーとしては、CIO、COO、CTO、クラウドディレクター、複数部門にわたるリーダー、エンタープライズ全体のリーダーなどが挙げられます。


      AWS CAF の人員のパースペクティブを示す図。

AWS CAF の人員のパースペクティブの機能

  • 文化の進化 – デジタルトランスフォーメーションの目標と、俊敏性、自律性、透明性、スケーラビリティのベストプラクティスにより、組織の文化を評価し、段階的に進化させ、体系化します。デジタルトランスフォーメーションを成功させるには、伝統とコアバリューを活用しつつ、顧客のために継続的な改善とイノベーションに注力するワークフォースを魅了、維持、支援する新しい行動や習慣を取り入れる必要があります。長期的に注力し、顧客に深く関わり、顧客のニーズに合わせて大胆にイノベーションを起こします。目指す文化を形成するために役立つ、すべての役割の行動と目標を認識するための組織全体のアプローチを策定します。迅速な実験、アジャイル手法、横断的なチームを検討して、責任感と自律性を高め、迅速な意思決定を可能にし、過度の承認や手続きの必要性を最小限に抑えます。

  • トランスフォーメーションのリーダーシップ – リーダーシップ能力を強化し、リーダーを結集してトランスフォーメーションを進め、成果重視の横断的な意思決定を可能にします。クラウドトランスフォーメーションを成功させるには、リーダーはテクノロジーと同じくらい人員の変革に重点を置く必要があります。技術とビジネスのリーダーシップがどちらも効果的に発揮されなければ、トランスフォーメーションが失速または行き詰まる可能性があります。テクノロジーとビジネスの両面で、戦略、ビジョン、スコープ、リソースについて重要な決定を下し、コミュニケーションや協力体制の構築を指示し、結果に対する説明責任をチームに課す経営陣の積極的で明確な支援を得ます。

    エグゼクティブレベルとプログラムレベルの両方で、ビジネスリーダーとテクノロジーリーダーが文化変革戦略を共同で策定、主導、実現するようにします。各管理層で、組織のクラウドの価値、優先順位、新しい行動に沿った明確で一貫したコミュニケーションが行われていることを確認します。トランスフォーメーションオフィスや Cloud Center of Excellence (CCoE) によってクラウドのリーダーシップ機能を進化させ、一貫性とスケーラビリティのための体系化されたパターンによるトランスフォーメーションの取り組みを周知および推進することを検討します。トランスフォーメーションの取り組みを進めていく中で、その時点のニーズを満たすためにこの機能を段階的に進化させます。

  • クラウドフルエンシー – 自信を持って効果的にクラウドを活用してビジネスの成果を加速するデジタル能力を高めます。優れたワークフォースに求められるのは、デジタル環境への適応だけではありません。最も大きな課題は、テクノロジー自体ではなく、才能、知識、経験を備えたパフォーマンスの高いワークフォースを雇用、育成、維持し、モチベーションを高める能力です。

    急速な技術革新に対応するため、トレーニング戦略全体でタイミング、ツール、テクノロジーに関するトレーニングに目を向け、既存のクラウドスキルを評価して、目標を絞ったトレーニング戦略を策定します。Skills Guild を導入して、トランスフォーメーションの気運を盛り上げ、推進力を高めます。データリテラシーを推進し、データ分析の人材のスキルと知識を向上させます。仮想トレーニング、クラスルームトレーニング、体験トレーニング、ジャストインタイムトレーニングを組み合わせて、Immersion Day を活用し、正式な認定資格でスキルを証明します。メンタリング、コーチング、シャドーイング、ジョブローテーションの各プログラムを実施します。特定の関心領域を持つ実践コミュニティを開設します。知識を共有したことに対して個人にリワードを与え、知識の引き出し、ピアレビュー、継続的なキュレーションのためのプロセスを正式化します。

  • ワークフォースのトランスフォーメーション – 人材を育成し、役割をモダナイズして、重要な能力を自律的に高めることができるデジタルフルエンシー、パフォーマンス、適応力の高いワークフォースを魅了、育成、維持します。クラウドトランスフォーメーションを成功させるには、経営陣のリーダーシップを取り入れ、リーダーシップ、学習、リワード、インクルージョン、パフォーマンス管理、キャリアモビリティ、雇用に対するアプローチをモダナイズするために、従来の HR にとどまらない積極的な人材イネーブルメント計画を行います。

    技術的スキルとそれ以外のスキルのバランスのとれた多様で包括的なワークフォースが必要です。組織全体の役割とスキルのギャップを識別し、組織のクラウドの能力を向上させるワークフォース戦略を策定します。デジタルスキルを持つ人材と学びたい人材を活用し、その事例を作ります。ワークフォースを一時的または長期的に増強するために、パートナーマネージドサービスプロバイダーの利用を戦略的に検討します。

    新しい人材を魅了するには、デジタルビジョンや組織文化を広く発信して強力なエンプロイヤーブランドを確立して、リクルート戦略、ソーシャルネットワークチャネル、外部マーケティングに活用します。

  • 変革の促進 – 現在から将来の状態への移行時の人員、文化、役割、組織構造への影響を特定して最小限に抑えるプログラムによる変革促進フレームワークを適用することで、新しい働き方の導入を促進します。クラウドトランスフォーメーションはビジネス部門とテクノロジー部門にわたって幅広い変革を起こします。また、構造化および統合された透明性のあるプログラムによるエンドツーエンドの変革プロセスを適用する組織は、高い確率で価値の実現と新しい働き方の導入に成功します。

    変革促進フレームワークをプロジェクトの開始時からカスタマイズして適用することで、組織の連携を可能にし、1 つの共通のエンタープライズを実現し、プロセスの無駄を減らします。横断的にクラウドのリーダーシップを連携させ、結集します。取り組みの早い段階で、何が成功かを定義します。影響評価によって組織のクラウドへの対応を評価し、将来の構想を立てます。主要なステークホルダー、組織間の依存関係、主なリスク、トランスフォーメーションの障壁を特定します。リーダーシップアクションプラン、人材エンゲージメント、コミュニケーション、トレーニング、リスク低減戦略で構成される、リスクに対処し、強みを活かす変革促進戦略とロードマップを策定します。

    新しい働き方の受け入れを進め、新しいスキルを習得し、導入を加速させるために、組織を関与させ、新しい能力を実現します。明確に定義されたメトリクスを追跡し、アーリーウィンを祝います。変革の協力体制を確立して、推進力を高めるために役立つ既存の文化の手法を活用します。継続的なフィードバック方法とリワードおよび表彰プログラムに従って変革を行います。

  • 組織設計 – 新しいクラウドの働き方に合わせて組織設計を評価し、トランスフォーメーションの取り組みを進めるにつれて進化させます。クラウドを活用してデジタルトランスフォーメーションを進めるにあたって、組織設計がビジネス、人員、オペレーション環境の中核戦略を確実にサポートするようにします。変革の事例を確立し、ビジネスの成功にとって重要な要素であると判断した望ましい行動、役割、文化が組織設計に反映されているかどうかを評価します。

    チーム編成、シフトパターン、指揮命令系統、意思決定手順、コミュニケーションチャネルの観点からも、組織の構造および運営の方法が目標とするビジネスの成果をサポートしているかどうかを判断します。新しいモデルを設計し、変革促進フレームワークを適用して実装します。時間とともに進化するように構築され、ビジョンに沿ったクラウド運用モデルへの移行を促進して実現する集約型のチームの設立を検討します。集約型、非集約型、分散型の構造間のトレードオフを考慮し、クラウドワークロードの戦略的価値をサポートするように組織設計を調整します。内部と外部 (マネージドサービスプロバイダーを使用) のチームの関係を明確にします。

  • 組織の連携 – 組織構造、ビジネスオペレーション、プロセス、人材、文化の間に継続的なパートナーシップを確立し、企業が市場に迅速に適応し、新しい機会を活用できるようにします。クラウドの価値実現を推進するために、組織の連携がテクノロジーとビジネス戦略の架け橋となり、テクノロジーの変革がビジネスの成果を生み出すビジネスユニットに受け入れられるようにします。

    オペレーションの回復性、ビジネスの俊敏性、製品/サービスのイノベーションなどのビジネスの成果に優先順位を付けます。人材が自律的に機能し、主要な目標に注力し、より適切な意思決定を行い、生産性を向上できるようにします。リーダーシップの俊敏性、ワークフォースのトランスフォーメーション、人材イネーブルメント、文化、組織構造における人員の能力が最初から統合されるように、変革促進フレームワークを早期に適用することについてリーダーシップのコミットメントを得ます。

    クラウド導入のための測定可能な目標、共通のゴール、方法を設定し、役割レベルでのスキル開発の期待を定めて、持続可能な変革の責任感を醸成します。トップダウンアプローチで共通の価値、プロセス、システム、働き方、スキルを開発し、ビジネスの成果を共同で追求して、部門間のサイロを破壊します。イノベーションの取り組みをカスタマーエクスペリエンスに結び付けます。継続的な導入とイノベーションを表彰し、リワードを与えます。