予測について - Amazon Forecast による時系列予測の原理

予測について

このドキュメントにおいて、予測とは時系列の将来の値を予測することを意味します。問題への入力または出力は時系列の性質のものです。

予測システム

予測システムには、次のようなさまざまなユーザーが関与します。

  • エンドユーザーは、特定の製品の予測のクエリを実行し、購入すべきユニットの数を決定します。決定を行うのは、個人の場合も、自動化システムの場合もあります。

  • ビジネスアナリストまたはビジネスインテリジェンスは、エンドユーザーをサポートし、集計レポートを実行して整理します。

  • データサイエンティストは、需要パターンや因果関係を繰り返し分析し、新しい機能を追加してモデルを段階的に改善したり、予測モデルを改善したりします。

  • エンジニアは、データ収集のインフラストラクチャをセットアップして、システムへの入力データの可用性を確保します。

Amazon Forecast を使用すると、ソフトウェアエンジニアの労力が軽減し、データサイエンス能力が限られている企業でも最先端の予測技術を活用できます。データサイエンス能力のある企業の場合は、Amazon Forecast で提供されているさまざまな診断機能を利用して、予測の問題に適切に対処できます。

予測の問題はどのような分野で発生するのですか。

予測の問題は、自然に時系列データが生成される数多くの分野で発生します。これには、小売販売、医療分析、キャパシティプランニング、センサーネットワークモニタリング、財務分析、社会的活動のマイニング、データベースシステムがあります。例えば、データ駆動型の意思決定を行っている企業のほとんどでは、業務プロセスの自動化と最適化において予測が重要な役割を果たしています。製品の需要と供給の予測は、最適な在庫管理、スタッフのスケジューリング、トポロジープランニングに利用できます。さらに一般的には、サプライチェーン最適化のほとんどの側面において、予測は重要なテクノロジーとなっています。

あるパターン (この例では季節性) を示す観測された時系列に基づいて、特定の期間にわたって予測を作成した場合の予測の問題の概要が、次の図で説明されています。横軸は、過去 (左) から将来 (右) にわたる時系列を表しています。縦軸は測定単位を表しています。過去 (青色) から黒色の縦線までの現在の測定値を元に作成されているのが、将来 (赤色) の予測タスクです。

予測タスクの概要の説明図

予測タスクの概要

予測の問題の解決を目指す前の考慮事項

予測の問題を解決する前に理解しておくべき最も重要な質問事項は次のとおりです。

  • 予測の問題を解決する必要がありますか。

  • 予測の問題を解決する理由はなんですか。

時系列データは至る所で発生しており、予測の問題は場所を問わずすぐに見つかります。ただし、予測の問題を解決する必要があるのか、それともビジネス上の効率的な意思決定を犠牲にすることなく予測の問題を完全に回避できるのか、ということが重要な問題となります。科学的観点では、予測は機械学習で最も難しい問題の 1 つであり、このような問いを投げかけることが重要です。

例えば、オンライン小売業者のお勧め商品を考えてみましょう。このようなお勧め商品の問題は、お客様と SKU (stock keeping unit) のペアごとに、この特定のお客様が購入するであろう特定の商品のユニット数を予測するという予測の問題として表現することができます。このように問題を定式化することには多くの利点があります。時間の要素が明確に考慮されるため、お客様の購入パターンに応じて商品をお勧めできることが、利点の 1 つです。

ただし、お勧め商品の問題が予測の問題として定式化されることはほとんどありません。このような予測の問題を解決することは、(お客様と SKU のレベルでの情報がわずかであることや、問題の規模などにより) お勧めに関する問題を直接解決するよりもはるかに難しいためです。したがって、予測アプリケーションについて検討する場合、予測の下流での使用状況と、別の方法でこの問題に対処できるかどうかを考慮することが重要となります。

このような場合、Amazon Personalize が役に立ちます。Amazon Personalize は、デベロッパーがアプリケーションを使用しているお客様に応じて個別のレコメンデーションを簡単に作成できる機械学習サービスです。

予測の問題を解決する必要があるという結論に至った場合、次に尋ねるべき質問は、予測の問題を解決する理由です。 ビジネス環境では、通常ほとんどの場合、予測は目的を達成するための手段として利用されています。例えば、小売業界での需要予測の場合、その予測を使用して在庫管理の意思決定を行うことができます。予測の問題は通常、意思決定の問題に対する入力情報であり、これを最適化問題としてモデル化する場合もあります。

このような意思決定上の問題の例には、購入するユニット数や、既存の在庫を処理する最善の方法などがあります。ビジネス予測に関するその他の問題としては、サーバーのキャパシティ予測や、製造業における原材料や部品の需要予測などがあります。このような予測は、上記のように意思決定の問題やシナリオシミュレーションなど、その他のプロセスへの入力情報として使用できます。シナリオシミュレーションはその後、明示的なモデルを使用することなくプランニングに使用できます。予測自体は目的ではないと言っても、例外があります。例えば、財務予測では、予測は手持ち資金の準備に直接使用されたり、投資家に提示されたりする場合があります。

予測の目的を理解するには、次の質問を検討してください。

  • 予測の対象とするのは、今後どれくらいの期間ですか。

  • 予測はどのくらいの頻度で生成する必要がありますか。

  • 予測には、深く掘り下げるべき特定の側面はありますか。