COST05-BP02 ワークロードのすべてのコンポーネントを分析する - コスト最適化の柱

COST05-BP02 ワークロードのすべてのコンポーネントを分析する

現在のサイズやコストに関係なく、すべてのワークロードが分析されることを確認します。見直しを行う際には、現在のコストや予想コストなどの潜在的利益を織り込む必要があります。

このベストプラクティスが確立されていない場合のリスクレベル:

実装のガイダンス

組織にビジネス価値をもたらすべく設計されたワークロードコンポーネントには、さまざまなサービスが含まれる場合があります。コンポーネントごとに、ビジネスニーズに対応する特定の AWS クラウド サービスを選択できます。何が選択されるかは、それらのサービスに関する知識や使用経験などの要因によって違ってきます。

組織の要件 (「COST05-BP01 組織のコスト要件を特定する」を参照) を特定したら、ワークロードのすべてのコンポーネントを徹底的に分析します。現時点と今後予測されるコストとサイズを考慮して、各コンポーネントを分析します。分析のコストを、ワークロードのライフサイクル全体で削減が見込まれる額と比較検討してください。対象となるワークロードのコンポーネントをすべて分析するための労力が、そのコンポーネントの最適化により見込まれる節約額や改善に見合っていなければなりません。例えば、提案されたリソースのコストが月額 10 USD で、予測負荷が月額 15 USD を超えない場合に、コストを 50% (月額 5 USD) 削減するために 1 日分の労力を費やすようでは、システムの寿命全体にわたって得られると考えられる利益を超えることになるかもしれません。データに基づくより高速でより効率的な予測を使用すると、このコンポーネントの全体的な成果を最善のものにできます。

ワークロードは時間の経過とともに変化する可能性があり、ワークロードのアーキテクチャや使用方法が変化すると、適切だったサービスの組み合わせが最適ではなくなってしまうことがあります。サービスの選択に関する分析には、現在および将来のワークロードの状態と使用量レベルが組み込まれる必要があります。将来のワークロードの状態や使用量に合わせてサービスを運用すると、今後の変更に必要な労力を軽減または削除できることになり、全体的なコストを削減できます。例えば、最初は EMR Serverless の使用が適しているかもしれません。ただし、そのサービスの使用量が増えてきたら、EC2 の EMR に移行することで、ワークロードの該当コンポーネントのコストを削減できる可能性があります。

AWS Cost Explorer および AWS Cost and Usage Report (CUR) では、PoC (概念実証) または実行中の環境のコストを分析できます。また、AWS Pricing Calculator を使用して、ワークロードのコストを見積もることもできます。

技術チームがワークロードを見直すためのワークフローを作成します。このワークフローはシンプルなものにし、必要なステップをすべて網羅することで、チームがワークロードの各コンポーネントとその料金を理解できるようにします。組織はこのワークフローに従い、またそれを各チームの特定のニーズに基づいてカスタマイズできます。

  1. ワークロードで使用する各サービスをリスト化する: まずはここから始めるのがよいでしょう。現在使用されているすべてのサービスと、コストの発生源を特定します。

  2. これらのサービスの料金体系を理解する: 各サービスの料金モデルを理解します。AWS の各サービスには、使用量、データ転送、機能に固有の料金などの要因に基づくさまざまな料金モデルがあります。

  3. 想定外のワークロードコストがかかり、予想される使用量とビジネス成果に見合わないサービスに重点を置く: AWS Cost Explorer または AWS Cost and Usage Report を使用して、異常値、またはコストが価値や使用量に比例しないサービスを特定します。最適化にかける労力に優先順位を付けるには、コストとビジネス成果を相関付けることが重要です。

  4. AWS Cost Explorer、CloudWatch Logs、VPC フローログ、Amazon S3 Storage Lens を使用して、高コストの根本原因を理解する: これらのツールは、高コストの診断に役立ちます。各サービスが、使用量とコストの確認と分析に役立つ異なるレンズを提供します。例えば、Cost Explorer は全体的なコスト傾向の特定に役立ち、CloudWatch Logs は運用に関するインサイトを提供します。また、VPC フローログは IP トラフィックを表示し、Amazon S3 Storage Lens はストレージ分析に有用です。

  5. AWS Budgets を使用して、サービスまたはアカウントに対する特定の金額の予算を設定する: 予算を設定することは、コストを管理する積極的な方法です。AWS Budgets を使用して、カスタムの予算のしきい値を設定し、コストがそのしきい値を超えたときにアラートを受け取ります。

  6. Amazon CloudWatch アラームを設定して、請求と使用状況のアラートを送信する: コストと使用状況のメトリクスに対するモニタリングとアラートを設定します。特定のしきい値を超えると CloudWatch アラームが通知するため、介入の応答時間が短縮されます。

現在の属性に関係なく、すべてのワークロードコンポーネントを戦略的に見直すことで、時間の経過に伴う着実な強化とコスト削減を促進します。このレビュープロセスに費やす労力は、それに見合う効果が得られるか慎重に検討した上で、決める必要があります。

実装手順

  • ワークロードコンポーネントをリスト化する: ワークロードのコンポーネントのリストを作成します。このリストを使用して、各コンポーネントが分析されたことを確認します。費やされる労力は、組織の優先順位によって定義されたワークロードの重要度に見合うものにする必要があります。効率向上のために、リソースを機能別にグループ化します (複数のデータベースがある場合は本番データベースストレージなど)。

  • コンポーネントリストに優先順位を付ける: コンポーネントリストを取得して、労力をかける順で優先順位付けをします。これは通常、コンポーネントのコストが最も高価なものから最も安価なものへ、または組織の優先順位で定義されている重要度の順に並べられます。

  • 分析を実行する: リストの各コンポーネントについて、使用可能なオプションとサービスを確認し、組織の優先順位に最適なオプションを選択します。

リソース

関連するドキュメント:

関連動画: