ベストプラクティス 18.1 - Amazon EC2 の利用可能な支払いおよび契約オプションを理解する - SAP Lens

ベストプラクティス 18.1 - Amazon EC2 の利用可能な支払いおよび契約オプションを理解する

オンデマンド料金に比べて大幅な割引となるリザーブドインスタンスと Savings Plans の使用を検討します。1 年契約と 3 年契約を、全額前払い、一部前払い、前払いなしの 3 つの支払いオプションで利用できます。

提案 18.1.1 – 料金モデル間の損益分岐点を理解する

リザーブドインスタンス には、スタンダードリザーブドインスタンス (オンデマンド料金の最大 72% 引き) とコンバーティブルリザーブドインスタンス (オンデマンド料金の最大 54% 引き) があります。 Savings Plans には、Compute Savings Plans (オンデマンド料金の最大 66% 引き) と EC2 Instance Savings Plans (オンデマンド料金の最大 72% 引き) があります。

Amazon EC2 オンデマンドの時間料金と比べてどれだけの割引になるかは、次の要因によって決まります。

  • 契約期間

  • 支払いオプション

  • リザーブドインスタンスまたは Savings Plan の種類

  • インスタンスファミリー

メモリ最適化インスタンスファミリー (例えば、 X1X1e ) では契約での割引率が高いため、SAP、特に SAP HANA ワークロードのために料金オプションを理解することが重要です。

AWS 料金計算ツール内のアドバンストオプションを使って損益分岐点を特定します。この計算ツールで前提となっている条件を認識する必要があります。わかりやすく説明するため、各インスタンスファミリーについて、リザーブドインスタンスまたは Savings Plan を使用した場合の TCO がオンデマンドを使用した場合の TCO を下回るポイントを次のような式で特定する例を考えてみましょう。

(契約の実質的時間料金 / オンデマンドの時間料金) * 730 時間

RI 契約期間と種類 および各 Savings Plan 契約期間と種類 の実質的時間料金を参照します。異なる損益分岐点をわかりやすく示した以下の例を比較してください。

例 1: バージニア北部 (us-east-1) の M5 ファミリーの場合、3 年契約で前払いなしのスタンダードリザーブドインスタンスまたは EC2 Savings Plan の方が TCO が低くなるポイントは、月間 315 時間 (月曜から金曜まで、1 日最大 16 時間) です。

例 2: バージニア北部 (us-east-1) の X1 インスタンスファミリーの場合、3 年契約で前払いなしのスタンダードリザーブドインスタンスまたは EC2 Savings Plan の方が TCO が低くなるポイントは、月間 235 時間 (月曜から金曜まで、1 日最大 12 時間) です。

その際、 コスト管理 に関する総合的なガイダンスと Well-Architected フレームワークの コスト最適化の柱 を参考にしてください。次の SAP on AWS Pricing Guide (SAP on AWS 料金ガイド) にも AWS で実行する SAP ワークロードについてのガイダンスがあります。コストを分析する際、AWS のすべての料金 (AWS 中国リージョンを除く) が米ドル (USD) で表示されていることに注意してください。ただし、支払い時に別の通貨を選択することができます。 AWS では現在、どの通貨がサポートされていますか? .

提案 18.1.2 – SAP に関連する各料金モデルの検討事項を理解する

リザーブドインスタンスと Savings Plans には、時間料金の割引の他にも検討すべきメリットがあります。AWS ドキュメントの Comparing Savings Plans to RIs table (Savings Plans と RI の比較表) では、リザーブドインスタンスと Savings Plans を比較しています。

ゾーンリザーブドインスタンス を使用すると、特定のアベイラビリティーゾーン内でキャパシティ予約が可能になります。Savings Plans はキャパシティ予約を提供していませんが、 オンデマンドキャパシティ予約 と組み合わせることでゾーンリザーブドインスタンスと同じ機能が提供できます。[信頼性]: ベストプラクティス 10.2 - 可用性および容量要件に適したアーキテクチャを選択する で容量戦略の詳細を確認してください。

Amazon EC2 スポットインスタンス を使用すると、AWS クラウド上の未使用の EC2 容量を利用できます。スポットインスタンスは、オンデマンドインスタンスの料金に比べて最大 90% の割引価格で利用できます。AWS が容量を必要とする場合、スポットインスタンスは 2 分前までの通知をもって AWS により解放される場合があります。そのため、スポットインスタンスは一般に SAP ワークロードの実行には適していません。

そして オンデマンドインスタンス を使用する場合は、SAP システムの開始がアプリケーションのパフォーマンスに及ぼす影響に加えて、SAP システムとその基礎にある EC2 インスタンスの停止と開始が運用に及ぼすその他の影響を、必要な運用時間に基づいて検討する必要があります。

提案 18.1.3 – リザーブドインスタンスと Savings Plans 契約の一括請求と共有に関するエンタープライズ戦略を評価する

リザーブドインスタンスと Savings Plans は、 一括請求 を利用すると AWS 組織の全アカウントでの使用に適用されます。組織の管理アカウントは、管理アカウントを含めた組織内の任意のアカウントに対し、リザーブドインスタンス割引と Savings Plans 割引を無効にすることができます。つまり、リザーブドインスタンスと Savings Plans の割引は、割引が無効になっているアカウントとは共有されません。リザーブドインスタンスと Savings Plans の割引をあるアカウントと共有するためには、両方のアカウントで割引共有が有効になっている必要があります。この設定は永続的ではなく、いつでも変更できます。

契約の共有戦略を決定する際、組織で採用している全体的な AWS アカウント戦略 が重要な要因となります。SAP ワークロードが専用の AWS アカウントで実行されているのか、AWS にホストされている他のワークロードと一緒に実行されているのかも考慮に入れる必要があります。リザーブドインスタンスと Savings Plans の割引が組織の一括請求にどのように適用されているかを理解するには、次のドキュメントを参照してください。

SAP Note: 1656250 - SAP on AWS: Support prerequisites (サポートの前提条件) [SAP ポータルへのアクセス権が必要] に詳しく記載されているとおり、SAP on AWS に関するサポートは、料金ベースの AWS サポート契約 (ビジネスサポート、エンタープライズサポートなど) を結んだ場合のみ提供されます。コストと要件に基づいて適切なサポートプランを特定してください。

AWS が組織内の各メンバーアカウントに対して個別にサポート料金を計算することに注意してください。