AWS 請求情報とコスト管理
ユーザーガイド (Version 2.0)

一括請求について

AWS Organizations で組織を管理する場合、一括請求 (コンソリデーティッドビリング) を使用して、組織内のアカウントの合計使用料金を確認できます。一括請求 (コンソリデーティッドビリング) はコスト削減にも役立ちます。たとえば、お客様が AWS 製品およびサービスを低料金で利用できるようにするため、AWS では、使用量が多くなるに従って料金が低くなり、インスタンスの事前購入には割引料金が適用される料金階層 (予約またはリザーブドインスタンスといいます) を設定しています。一括請求 (コンソリデーティッドビリング) を使用して、複数のアカウントの使用量を 1 つの請求書にまとめて、より安価な階層により迅速に達することができます。また、あるアカウントの未使用の予約を別のアカウントのインスタンス使用量に適用することもできます。

一括請求の計算方法

組織内では、マスターアカウントがメンバーアカウントで発生したすべての料金を支払います。マスターアカウントの管理者であり、適切な権限を持っている場合、すべてのメンバーアカウントのリザーブドインスタンス割引とボリューム階層の合計使用コストを表示できます。また、個々のメンバーアカウントで発生した課金を表示することもできます。これは、アカウントの使用量に基づいて AWS によって各メンバーアカウントの個別の請求書が作成されるためです。また、マスターアカウントの請求書に個別のアカウントの請求概要も含まれています。各請求期間中に、AWS によって 1 日に何回か予想請求額が計算され、組織でコストが発生するたびにそれを追跡できます。請求書は翌月の月初までは確定されません。

注記

メンバーアカウントと同様に、マスターアカウントにも利用料金が発生する可能性があります。ただし、ベストプラクティスとして、マスターアカウントを AWS サービスの実行に使用するべきではありません。例外は、組織自体を管理するために必要なサービスおよびリソースの場合です。たとえば、一括請求 (コンソリデーティッドビリング) の管理の一環として AWS のコストと使用状況レポートを保存するために、マスターアカウントで S3 バケットを作成する場合があります。

料金階層

一部の AWS サービスでは、AWS 使用量に応じて単価が変動する料金階層が設定されています。使用量が増えてしきい値を超えると、1 か月の追加使用量についてさらに安い単価を指定する新しい料金階層に移行します。AWS の使用量は毎月測定されます。使用量を測定するため、AWS では、組織内のすべてのアカウントを単一のアカウントとみなします。メンバーアカウントが個別に階層の限度に達することはありません。代わりに、組織でのすべての使用量がサービスごとに集計され、より安い価格階層がより迅速に適用されます。毎月の初めに、サービスの使用量がゼロにリセットされます。

各 AWS サービスでは、料金情報を個別に公開しています。すべての個別の料金表ページには、AWS 料金のページからアクセスできます。また、AWS ホワイトペーパー「AWS 価格に関する白書」でも使用例と価格オプションについて説明します。

Amazon S3 標準ストレージのコストの計算

次の表は、料金範囲の例を示しています (コストが異なる場合があります)。

Amazon S3料金階層

次のテーブルでは、マスターアカウントと 3 つのメンバーアカウントを含む、組織の Amazon S3 の使用状況を示しています。

S3 使用量のブレンドコストの例

上記の表の費用は次のように計算されます。

  1. 組織の全使用量は合計 95 TB (95,000 GB) です。これは、マスターアカウントの記録用に加算されます。マスターアカウントそのものの使用量はありません。使用料は、メンバーアカウントにのみ発生します。メンバー 1 は、1 TB のストレージを使用しています。この場合、組織の最初の料金範囲を満たしています。2 番目の料金範囲は、3 つのメンバーアカウント (メンバー 1 の 14 TB + メンバー 2 の 20 TB + メンバー 3 の 15 TB = 49 TB) によって満たされています。3 番目の料金範囲は、49 TB を超える使用量に適用されます。この例では、3 番目の料金範囲は、合計使用量が 45 TB のメンバーアカウントに適用されます。

  2. 合計コストは、最初の 1 TB のコスト (1,000 GB x 0.10 USD = 100.00 USD) を、次の 49 TB のコスト (49,000 GB x 0.08 USD = 3,920 USD) と残りの 45 TB のコスト (45,000 GB x 0.06 USD = 2,700 USD) に加算して算出します。その結果、合計コストは、6,720 USD (100.00 USD + 3920.00 USD + 2700.00 USD = 6720.00 USD) になります。

前述の例から、AWS Organizations の一括請求を使用することで、毎月かかるストレージの合計コストを安く抑えられることがわかります。各メンバーアカウントのコストを個別に計算した場合、合計コストは 6,720 USD ではなく、6,780 USD です。3 つのアカウントの使用量を合計することで、より安い料金階層に、より早く移行することができます。最も高価なストレージ (最初の 1 TB) が最大料金で請求されるのは 1 回のみです。3 回請求されることはありません。たとえば、3 TB のストレージを最大レートの 100 USD/TB で使用すると、300 USD になります。このストレージについて、最初の 1 TB (100 USD) と、80 USD の追加の 2 TB (160 USD) で請求すると、合計請求額は 260 USD です。

リザーブドインスタンス

AWS では、料金の前払いと契約期間の確約により、時間レートが割り引きされるシステムも導入しています。

キャパシティーの予約

リザーブドインスタンスは、前払いの料金および期間契約と引き換えに、時間料金を割引する予約です。Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)や Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)などのサービスでは、このアプローチに従って、予約されたキャパシティーをリザーブドインスタンスとして販売しています。仮想マシンではありません。リザーブドインスタンスは、特定の Amazon EC2 または Amazon RDS インスタンスについて事前に料金を支払うという約束です。見返りとして、オンデマンドインスタンスの使用状況と比較して、割引レートが適用されます。リザーブドインスタンスとオンデマンドインスタンスに技術的な違いはありません。インスタンスを起動すると、AWS はアクティブな予約に適用することができる該当する使用を、組織のすべてのアカウントで確認します。詳細については、Linux インスタンス用 Amazon EC2 ユーザーガイド の「リザーブドインスタンス」と Amazon Relational Database Service 開発者ガイド の「リザーブド DB インスタンスを使用する」を参照してください。

リザーブドインスタンスで容量を予約すると、時間単位の使用量は、同じアベイラビリティーゾーン内の利用タイプが同じインスタンスに適用される割引レートで計算されます。

リージョンリザーブドインスタンス

リージョンリザーブドインスタンスは、キャパシティーを予約できません。その代わりに、アベイラビリティーゾーンの柔軟性と、場合によってはインスタンスサイズの柔軟性が提供されます。アベイラビリティーゾーンの柔軟性は、リザーブド AWS リージョン内の任意のアベイラビリティーゾーンで 1 つ以上のインスタンスを実行することを可能にします。リザーブドインスタンス割引は、すべてのアベイラビリティーゾーンのすべての使用量に適用されます。インスタンスサイズの柔軟性により、インスタンスファミリー内のインスタンスの使用に対して、サイズを問わず、リザーブドインスタンス割引が適用されます。インスタンスサイズの柔軟性は、デフォルトのテナンシーを持つ Linux/Unix プラットフォーム上のリザーブドインスタンスにのみ適用されます。リージョンリザーブドインスタンスの詳細については、このドキュメントの 「リザーブドインスタンス」および Linux インスタンス用 Amazon Elastic Compute Cloud ユーザーガイドの「リザーブドインスタンスの適用」を参照してください。

リザーブドインスタンスを使用した Amazon EC2 のコスト計算

AWS の Amazon EC2 インスタンスのブレンドレートの計算方法として、まず、組織の特定の AWS リージョンにおける特定のインスタンスタイプの EC2 使用状況すべて集計します。その後、AWS は利用できるすべての割引を適用して、組織のコスト階層を計算し、最後に、組織のコストを使用量の合計で除算します。

計算方法

AWS では、以下のロジックを使用して Amazon EC2 インスタンスのブレンドレートを計算します。

  1. AWS では、1 か月または 1 か月に満たない期間の組織のすべてのアカウントの使用量を集計し、オンデマンドインスタンスやリザーブドインスタンスのレートなどの非ブレンドレートに基づいてコストを算出します。これらの費用の明細項目は、マスターアカウントに対して作成されます。この請求計算モデルは、各明細項目が条件を満たす最低の非ブレンドレートを適用することを目的としたものです。リザーブドインスタンス時間から始まり、無料利用枠の時間、残りの使用量に対するオンデマンドレートの順で適用されます。AWS Cost and Usage report に、これらの集計コストの明細項目が表示されます。

  2. AWS では、各 AWS リージョンでの各 Amazon EC2 使用タイプを識別し、集計されたマスターアカウントのコストから、同じリージョン内の同一の使用タイプについての対応するメンバーアカウントの明細項目にコストを配分します。AWS Cost and Usage report の非ブレンドレート列は、各明細項目に適用されたレートを示しています。

    注記

    AWS でリザーブドインスタンスの時間をメンバーアカウントに割り当てるときは、必ず予約を購入したアカウントから始めます。キャパシティー予約の時間が残っている場合、AWS によって、同じアベイラビリティーゾーン内の同一の使用タイプを操作している他のアカウントに割り当てられます。

    AWS は、リージョン RI をインスタンスサイズごとに割り当てます。RI は、インスタンスファミリーで最小のインスタンスにまず適用され、その後その次に小さいものの順に適用されます。AWS は RI または RI の一部をインスタンスの正規化係数に基づいて適用します。RI の適用順序で価格が変更されることはありません。

ブレンドレートとコスト

ブレンドレートは、AWS Organizations の組織内のメンバーアカウントで使用されるリザーブドインスタンスとオンデマンドインスタンスの平均レートです。ブレンドコストは、AWS によって、各サービスのブレンドレートに、アカウントでのそのサービスの使用率を掛けて計算されます。

注記

AWS は連結アカウントにそれぞれの料金を非ブレンドコストとして示します。AWS は引き続き、AWS Organizations 組織内のすべての連結アカウントに階層化された料金や予約などの、すべての一括請求のメリットをもたらします。

このセクションでは、次のサービスに対する混合レートを AWS で計算する方法の例を示します。

Amazon S3 標準ストレージのブレンドレートの計算

Amazon S3 標準ストレージのブレンドレートは、AWS によって、ストレージの合計コストを、1 か月間に保存されたデータ量で除算して算出されます。マスターアカウントおよび 3 つのメンバーアカウントのコスト 6,720 USD を計算した「一括請求の計算方法」の例を使用して、次のロジックでこれらのアカウントのブレンドレートを計算します。

  1. ブレンドレートを GB 単位で算出するには、合計コスト (6,720 USD) をストレージ容量 (95,000 GB) で除算します。その結果、ブレンドレートは、1 GB 当たり 0.070737 USD になります。ブレンドレートを TB 単位で算出するには、合計コスト (6,720 USD) をストレージ容量 (95 TB) で除算します。その結果、ブレンドレートは、1 TB 当たり 70.737 USD になります。

  2. 各メンバーアカウントのブレンドコストを配分するには、ブレンドレート (GB または TB) に使用量を乗算します。その結果、ブレンドコスト列に表示されている金額になります。たとえば、メンバー 1 は、ブレンドレート 0.070737 USD で 14,000 GB のストレージ (または 70.737 USD で 14 TB) を使用しており、ブレンドコストは 990.318 USD になります。

Amazon EC2 のブレンドレートの計算

以下の例では、一括請求ロジックでマスターアカウントに Amazon EC2 コストを集計し、それを使用比率に基づいてメンバーアカウントに配分する方法を示しています。この例では、すべての使用量が同じ使用タイプであり、同じアベイラビリティーゾーンで発生し、リザーブドインスタンスの期間が同じです。この例の対象は、完全な前払いと部分的な前払いのリザーブドインスタンスです。

次の表に、Amazon EC2 の月間 720 時間(30 日)の使用についての明細項目の計算を表す明細項目を示します。各インスタンスは、同じアベイラビリティーゾーンで実行される同じ使用タイプ (t2.small) です。組織は、3 つのリザーブドインスタンスを 1 年分購入しています。メンバーアカウント 1 には 3 つのリザーブドインスタンスがあります。メンバーアカウント 2 にはリザーブドインスタンスはありませんが、オンデマンドのインスタンスを使用しています。

前記の表のデータは、次の情報を表しています。

  • 組織は、1,440 時間のリザーブドインスタンスキャパシティーを完全な前払いレートで購入しました (2 つの EC2 インスタンス)。

  • 組織で、720 時間のリザーブドインスタンスキャパシティーを一部前払いレートで購入しました (1 つの EC2 インスタンス)。

  • メンバーアカウント 1 は、2 つの完全な前払いリザーブドインスタンスおよび 1 つの部分的な前払いリザーブドインスタンスを合計 2,160 時間使用しています。メンバーアカウント 2 は、オンデマンドインスタンスを 300 時間使用しています。組織の合計使用量は、合計 2460 時間 (2160+300=2460) です。

  • 3 つのリザーブドインスタンスの非ブレンドレートは、0.00 USD です。RI の料金はブレンドレートの計算には使用しないため、非ブレンドレートは常に 0.00 USD になります。

  • オンデマンドインスタンスの非ブレンドレートは、0.023 USD です。非ブレンドレートは、製品の現在の価格に関連付けられます。前の表の情報を使用してこれらを検証することはできません。

  • ブレンドレートを算出するには、合計コスト (6.90 USD) を Amazon EC2 の合計使用時間 (2,460 時間) で除算します。これにより、1 時間あたり 0.002804878 USD が発生します。

AWS Cost and Usage report の帳尻が合っていることを確認するには、各メンバーアカウントの明細項目のブレンドコストと、丸め誤差の明細項目の合計が、すべてのマスターアカウントの明細項目の合計と等しいことを確認します。

注記

AWS Cost and Usage report を .csv ファイルにダウンロードすると、Excel スプレッドシートを使用してメンバーアカウントの明細項目を検索し、レポート内のマスターアカウントの明細項目と帳尻を合わせることができます。そのためには、以下の列を以下の順序でフィルタします。

  1. Product Name

  2. Usage Type

  3. オペレーション