SEC03-BP09 サードパーティーとリソースを安全に共有する - セキュリティの柱

SEC03-BP09 サードパーティーとリソースを安全に共有する

クラウド環境のセキュリティは、組織内にとどまりません。組織が、データの一部を管理するのにサードパーティーに依存することもあります。サードパーティー管理システムの権限管理は、一時的な認証情報を使用する最小特権の原則を用いたジャストインタイムアクセスの実践に従う必要があります。サードパーティーと密に連携することにより、意図しないアクセスの影響が及ぶ範囲とリスクをともに縮小することができます。

期待される成果: ユーザーと関連付けられた長期的AWS Identity and Access Management (IAM) 認証情報、IAM アクセスキー、およびシークレットキーは、認証情報が有効かつアクティブである限り、誰でも使用できます。IAM ロールと一時的な認証情報を使うと、そういった機密性の高い詳細の管理と運用間接費など、長期的認証情報を維持するための業務を減らすことにより、総合的なセキュリティスタンスが改善されます。IAM 信頼ポリシーの外部 ID に対して汎用一意識別子 (UUID) を使用し、IAM ロールにアタッチされた IAM ポリシーを制御かに置くことにより、サードパーティーに付与されたアクセスを監査して、過度に寛容でないことを確認できます。外部共有リソースの分析に関する規範的ガイダンスについては、「SEC03-BP07 パブリックおよびクロスアカウントアクセスの分析」を参照してください。

一般的なアンチパターン:

  • 条件なしでデフォルトの IAM 信頼ポリシーを使用する。

  • 長期的 IAM 認証情報とアクセスキーを使う。

  • 外部 ID を再使用する。

このベストプラクティスを確立しない場合のリスクレベル:

実装のガイダンス

AWS Organizations 外のリソースを共有したり、アカウントにサードパーティーのアクセスを付与したりする場合があります。たとえば、サードパーティーが提供する監視ソリューションが、貴社のアカウント内のリソースにアクセスする必要があるかもしれません。そのような場合、サードパーティーにとって必要な権限のみを含む IAM クロスアカウントロールを作成します。さらに、外部 ID 条件を使って信頼ポリシーを定義します。外部 ID を使用すると、自分またはサードパーティーが各顧客、サードパーティー、またはテナンシーに対して一意の ID を生成できます。一意の ID を作成後は、自分以外の人物によってコントロールできなくなります。サードパーティーは、外部 ID を安全に、監査可能かつ再現可能な方法で顧客に関連付けるプロセスを実装する必要があります。

また、IAM Roles Anywhere を使用すると、AWS を用いる AWS 外のアプリケーションに対して IAM ロールを管理できます。

サードパーティーが貴社の環境にアクセスする必要がなくなった場合は、ロールを削除します。サードパーティーに長期的な認証情報を提供することは避けてください。共有をサポートする他の AWS サービスを継続的に把握しておきます。たとえば、AWS Well-Architected Tool では ワークロードを他の AWS アカウント と共有でき、AWS Resource Access Manager は所有する AWS リソースを安全に他のアカウントと共有するのに役立ちます。

実装手順

  1. クロスアカウントロールを使って、外部アカウントへのアクセスを提供します。

    クロスアカウントロールを使うと、顧客にサービスを提供するために外部アカウントとサードパーティーによって保存されている機密情報の量が減ります。クロスアカウントロールがあると、アクセスを管理および監査する能力を維持しながら、AWS Partner または組織内の他のアカウントなど、アカウントの AWS リソースへのアクセスをサードパーティーに安全に付与できます。

    サードパーティーが、ハイブリッドインフラストラクチャからサービスを提供したり、またはオフサイトロケーションにデータをプルする場合があります。IAM Roles Anywhere を使用すると、サードパーティーのワークロードが AWS ワークロードと安全に対話し、長期的認証情報のニーズをさらに軽減することができます。

    外部アカウントアクセスを提供するために、ユーザーと関連付けられた長期的認証情報、またはアクセスキーを使用しないでください。かわりに、クロスアカウントロールを使ってクロスアカウントアクセスを提供します。

  2. サードパーティーに外部 ID を使用します。

    外部 ID を使用することにより、IAM 信頼ポリシーで誰がロールを担うかを指定できます。信頼ポリシーでは、ロールを引き受けるユーザーが、操作を行う条件とターゲットを実施する必要があります。またこの方法により、アカウントの所有者が特定の状況下でのみロールを引き受けることを許可する方法も提供できます。外部 ID の主な機能は、代理人の混乱問題に対処して防止することにあります。

    外部 ID は、AWS アカウント 所有者であり、自分のものに加えて他の AWS アカウント にアクセスするサードパーティーに対してロールを設定した場合、または異なる顧客に代わってロールを引き受けるポジションにある場合に使用します。サードパーティーまたは AWS Partner と連携して、IAM 信頼ポリシーに含める外部 ID 条件を確立します。

  3. 汎用一意識別子を使用します。

    汎用一意識別子 (UUID) など、外部 ID に対してランダムな一意の値を生成するプロセスを実装します。サードパーティーが異なる顧客間で外部 ID を再使用しても、「代理人の混乱」問題に対処できません。これは、顧客 A が、顧客 B のロール ARN と重複した外部 ID を使用することで、顧客 B のデータを表示できる可能性があるためです。マルチテナント環境では、サードパーティーが異なる AWS アカウント で複数の顧客をサポートするため、サードパーティーが各 AWS アカウント に対する外部 ID として異なる一意の ID を使用する必要があります。サードパーティーは、重複した外部 ID を検出して、各顧客をそれぞれの外部 ID に安全にマッピングする責任があります。サードパーティーは、外部 ID を指定する際にのみロールを引き受けることができることをテストして検証する必要があります。サードパーティーは、外部 ID が必要となるまで、顧客ロール ARN と外部 ID を保存することを控える必要があります。

    外部 ID はシークレットとして取り扱われませんが、外部 ID は電話番号、氏名、アカウント ID など推測しやすい値であってはなりません。外部 ID を読み取り専用にすることで、設定のなりすましを目的として外部 ID が変更されないようにします。

    ご自身またはサードパーティーが外部 ID を生成できます。ID 生成に責任がある担当者を決定するプロセスを定義します。外部 ID を作成するエンティティにかかわらず、サードパーティーは顧客間で一貫した一意性とフォーマットを適用します。

  4. 顧客が提供する長期的認証情報を廃止します。

    長期的認証情報の使用を廃止して、クロスアカウントロールまたは IAM Roles Anywhere を使用します。長期的認証情報を使用する必要がある場合、ロールベースのアクセスに移行する計画を立ててください。キーの管理に関する詳細については、「ID 管理」を参照してください。また、AWS アカウント チームおよびサードパーティーと連携して、リスク軽減ランブックを確立します。セキュリティインシデントの潜在的影響に対する反応と軽減の規範的ガイダンスについては、「インシデント対応」を参照してください。

  5. セットアップに規範的ガイダンスがあるか、または自動化されていることを確認します。

    アカウントのクロスアカウントアクセス向けに作成されたポリシーは、least-privilege principle に従う必要があります。サードパーティーは、ロールポリシードキュメント、または AWS CloudFormation テンプレートまたは同等のものを使用する自動化されたセットアップメカニズムを提供する必要があります。これにより、手動ポリシー作成に関連してエラーが発生する可能性が減り、監査可能証跡を提供します。AWS CloudFormation テンプレートを使用したクロスアカウントロール作成の詳細については、「クロスアカウントロール」を参照してください。

    サードパーティーは、自動化され、監査可能なセットアップメカニズムを提供する必要があります。ただし、必要なアクセスを概説したロールポリシードキュメントを使用することにより、ロールのセットアップを自動化する必要があります。AWS CloudFormation テンプレートまたは同等のものを使用して、監査業務の一環として、ドリフト検出で変化をモニタリングする必要があります。

  6. 変更するアカウント。

    アカウント構成、サードパーティーのニーズ、または提供されるサービスオファリングは変わる可能性があります。変更と障害を予想し、それに応じて適切な人材、プロセス、テクノロジーを計画する必要があります。定期的に提供するアクセスのレベルを監査し、予想外の変更があった場合にアラートを出す検出方法を実装します。外部 ID のロールとデータストアをモニタリングおよび監査します。予想外の変更やアクセスパターンの結果、サードパーティーのアクセスを一時的または恒久的に取り消す準備をしておく必要があります。また、実行にかかる時間、関与する人材、コスト、および他のリソースの影響など、取り消し操作の影響を測定します。

    検出方法に関する規範的ガイダンスについては、「検出のベストプラクティス」を参照してください。

リソース

関連するベストプラクティス:

関連するドキュメント:

関連動画:

関連する例: